フィレンツェがあるトスカーナ州も、12月4日からロックダウンが解除されることが決まり、ちょっとほっとした感じです。
さて、季節は秋から冬へと移り、市場やスーパーでがぜん目立ってきた冬野菜たち。
その中でも幅を利かせているのが、アーティチョークです。
イタリア語では、Calciofiカルチョーフィ(カルチョーフィは複数形で、単数形はカルテョーフォ)といいます。
イタリアでは10月の終わり頃から目にするようになり、春4月の終わり頃までがシーズンです。
季節ものはなんでもそうですが、はしりの時期は高値で味もいまひとつです。家庭料理の先生も、カルチョーフィもはしりに飛びついて買うのはお勧めではないと言っていました。
また、春温かくなってからは硬くて生で食べるにはあまり向かなくなってきます。
市場で豪快に山積みにされたアーティチョークは、6月から10月の観光シーズンに見ることはできません。

日本ではまだまだ認知度が低いように思います。
アーティチョークは、蕾なので、鮮度が大切です。
鮮度がよいアーティチョークならではの食べ方は、生食です。
薄切りにしたアーティチョークをレモン水につけてあく抜きします。そして、搾りたてのオリーブオイル、パセリ、パルミジャーノ・レッジャーノかグラノ・パダーノ、長熟のペコリーノチーズを薄切りにしてたっぷり散らします。チーズの旨味と塩味、アーティチョークのシャキシャキした食感、さっぱりした味わいを楽しむことができます。
生のアーティチョークは、カルパッチョまたはサラダと呼ばれます。

生食にするアーティチョークは、スマートな形の品種を使います。
日本に輸入されているずんぐりしたまるい緑色の品種は、比較的日持ちがよく、加熱調理に向いたものだそうです。
イタリアでも地域によって使われる品種が異なります。
アーティチョークは高級野菜といわれますが、それは捨てるところが非常に多いためです。一人前が最低蕾1つ分で、下処理に手間がかかります。レストランでも、付け合わせではなく、前菜やメインディッシュとして、主役や準主役として登場します。
下処理前とした処理後でこんな感じです。


下処理後の断面をみると、中央のくぼみに綿毛のようなものがあります。これも忘れずに取り除きます。
これが残っていると、食べたあと、口の中にずっとこの繊維がまとわりつきます。
綿毛の生えているところが一番おいしい核になる部分なのでいっしょに削り落とさないように気を付けてください。
そして、水にさらし、レモン入りの水にさらしておくと、だんだんあくが出て水が茶色っぽくなってきます。

スーパーや八百屋さんでは、余分なガクを取り除いたアーティチョークも販売されています。処理に手間がかかっているにもかかわらず、意外と安価です。
しかし、イタリア人は、処理されたアーティチョークには見向きもせず、大量のゴミが出る葉・軸付きのアーティチョークを真剣な面持ちで選んでいます。鮮度という大切な理由があるからです。
鮮度のバロメータになるものが取り払われているということは、前の日のもしかしたら数日たってしまった売れ残りということのようです。
お花屋さんでバラを買うときに軸や葉のコンディションをチェックするのと同じだと思いました。
アーティチョークはお花なので、購入した後は、水にさして涼しいところに置いて保存します。

八百屋さんに教えてもらったのですが、軸の外側の堅い筋を取り除いて、蕾の部分と同じようにあく抜きをすると美味しく食べることができます。私は細めの拍子切りにして炒めて食べます。
アーティチョークの葉も、乾燥させてお茶にすると肝臓のコンディションを整える作用があるそうです。
葉を使ったお茶はいまだ試したことがないので、次回アーティチョークを購入したときに乾燥させてみようと思います。
食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富なアーティチョーク。ついつい食べ過ぎになる冬場の疲れた胃腸を整えて風邪を撃退してくれる強い味方です。
下処理に手間のかかる野菜ですが、日本でももっと気軽に楽しまれるようになってほしいと思います。
2020.12.2

shinako

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