例年に比べかなり温かいすごしやすい日が続いていたフィレンツェですが、11月半ばから冬らしい寒さがやってきました。
秋の始まりを告げるお菓子、葡萄入りスキアッチャータを以前ご紹介しました。
今回は、晩秋から冬の伝統的なお菓子、カスタニャッチョと呼ばれる栗の粉を使ったお菓子をご紹介します。
カスタニャッチョは、葡萄入りスキアッチャータ同様、貧しい農家の食文化から派生したお菓子なので、贅沢な材料は使われません。
栗の粉は、いまでは1キロ10ユーロ以上高価になっていますが、昔は山岳部に住む農家の貴重な栄養源になっていたようです。
開墾した畑でとれる農作物と違って、山に植林したら特に手をかけなくとも栗は大量に実るからです。
そして、大きく育った栗の木は、樽に加工したり薪にしたりします。今でもイタリア中部では、伝統にこだわって栗の木の大樽でワインを熟成させているワイナリーもあります。
日本にも搗栗という保存食でもある乾燥栗がありますが、イタリアにも同様のものがあります。イタリアでは栗の粉まで販売されており、どれだけ栗が生活に染渡っているか感じられます。
この栗の粉の活用法で一番有名なのがカスタニャッチョと呼ばれるお菓子です。
葡萄入りスキアッチャータが店頭から姿を消したころ、代わりに売られるのがこのお菓子です。
日本人にとって甘すぎるお菓子が多いイタリアですが、カスタニャッチョは例外です。
レシピをいろいろ調べてみると本来は砂糖を全く加えずに作るものだそうです。さすがにそれは食べにくいのか、砂糖を少し加えて作るレシピがほとんどでした。
現在フィレンツェはロックダウン中で、外出しづらい状況なので、家の中でできる楽しみとして、カスタニャッチョを作ってみました。
レシピをいろいろ比較して、これまで食べたものと、自分好みに近い味を模索、そして伝統に近いものをアレンジして作りました。
【カスタニアッチョのレシピ】
材料
- 栗の粉 250g
- 黒砂糖 大さじ1
- 塩 1つまみ
- 常温の水 350g
- オリーブオイル 大さじ3
- 松の実 30g
- レーズン 50g
- ローズマリーの葉 適量
作り方
- レーズンを水につけてふやかしておく。松の実を軽く乾煎りする(風味がよくなるため)。
- 栗の粉をふるう(ダマになりやすいため)。
- 塩と砂糖を加え、少しずつ水を加えながら、泡だて器を使って滑らかなペースト状にする。
- オリーブオイルを加え、さらにに混ぜ、松の実とレーズンの半分強の量を生地に混ぜ込む。
- 天板にクッキングシートを敷き、④を流し込む。
- 残しておいた松の実とレーズン、ローズマリーの葉を上に散らして、200度ののオーブンで25分~30分焼く。
焼きあがりの目安は、表面に割れ目が走ってくることです。
私は厚みがあるより薄く焼き上げたタイプの方が好みなので、1cmほどと薄く仕上げました。
栗の粉特有の苦みの中に、うっすら甘みが感じられる仕上がりになりました。
ちょっと甘みが足りないと思われるかたは、食べるときにはちみつを足してもよいと思います。
よりしっとりと仕上げたい方は天板に生地を広げてから、上に軽くオリーブオイルをかけるとよいです。
以前知り合いの家でいただいたカスタニャッチョが、市販のものと比べてとってもしっとりとしておいしかったので、尋ねるとオリーブオイルをたっぷりかけるのがコツと言っていました。
レシピをいろいろ見た中に、たっぷりオイルをかけるものはなかったので、表面が乾燥している一般的な乾燥肌のカスタニャッチョに仕上げました。
お菓子作りは大量のバターと砂糖を使い、罪悪感にとらわれがちですけれど、カスタニャッチョはとても健康的で、材料を混ぜて焼くだけのいたって簡単なお菓子です。
ぜひお試しくださいませ。
2020.11.25

shinako

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