フィレンツェではロックダウンが緩和されましたので、散歩がてら久々に旧市街地までイルミネーションを眺めに行きました。
カトリックの国のイタリアでは、キリスト誕生のシーンを表現した模型「プレゼピオ」を飾るのが伝統で、クリスマスツリーは日本同様外来のアイテムです。
教会に飾られるだけではなく、各家庭でも飾る習わしです。
伝統的に、飾りつけの日は、カトリックの宗教祭日12月8日、無原罪の御宿り(聖アンナ様が聖母マリア様を身ごもった日)とされていました。
聖母マリア信仰の強いラテン諸国では、中世のころからこの日は伝統的に祝われていたそうですが、バチカンで正式に認定されたのは1854年と近代になってからだそうです。
農業従事者が多かった昔、夏の麦に始まった収穫作業がオリーブで一段落し、冬に備えて豚を潰して冬季の保存食づくりも終え、ちょうどいい区切りでもあったのかもしれません。
今はすべてが商業ベースで動かされ、消費者のテンションを上げて、購買意欲を仰ぐため、あちこちのお祭りが輸入され、目まぐるしくデコレーションが変わり、昔の人が見たら私たちは気の狂った世界に住んでいるのではないかと思われそうなほどです。
でも、様々なアイデアでデコレーションされたウィンドーや通りを眺めるのは、17時前に暗くなり始めるイタリアではありがたく、寒さをまぎらわせてくれます。
今年のクリスマス休暇も観光客が見込めず、夏場も客足が戻らぬまま感染の再燃で、例年とは様子が異なります。イルミネーションを設置していない道、設置されていても地味な灯りの道がほとんどで、寂しい印象でした。
ベッキオ橋はここ数年アートプロジェクションが行われており、昨日通りかかった時、ちょうど調整中でした。
いつも「この中はどうなっているのだろう」と不思議に思っていたメカニックボックスが開いていて、人が出入りしていました。
道のイルミネーションが寂しく(ロックダウンだったこともあり飾りつけが遅れているだけなのかもしれませんが)、がっかりした後だっただけに嬉しくなりました。
今年はどんな画像か楽しみです。
そして、ここ数日降り続いていた雨でアルノ川の水位がかなり上がっていることに気がつきました。
例年と同じように華やかだったのは、サンタトリニタ広場とトルナブオニ通りのラグジュアリーブランドが並ぶ通りのイルミネーションです。
数年前から電飾オブシェも設置され、ちょっとした記念写真スポットにもなっています。
貴族や上級市民の邸宅や重要な教会もあるフィレンツェの街を端的に表現している外せない魅力的な通りです。
この通りにある代表的なルネサンス建築の大邸宅、ストロッツィ宮殿では、世界で活躍するイタリア人女性ビジュアルアーティストのマリネッラ・セナトーレの展示会開催が始まり、作品のひとつとしてルミナリエが中庭に設置されています。
ここ数年アートプロジェクションがもてはやされ、すっかり過去のものとなったルミナリエですが、ルミナリエならではのカラフルで強い色彩と独特の曲線のデコレーションがノスタルジーを感じさせました。
他者を引き上げることで我々は上昇するというアーティストの常なるメッセージに
The word community feels good.
Breathe you are enough.
のメッセージが加わった作品です。
12月に入り慌ただしくお過ごしの方も多いと思いますが、心のゆとりと体調に気を付けてお過ごしくださいませ。
2020.12.9

shinako

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