先週は暑さが一段落してほっとしていたのですが、今週再び最高気温35度以上の毎日が続いています。
8月、日本は広島、長崎の原爆投下、そして8月15日の終戦。
夏休みの思い出の中に組み込まれている犠牲者を思い、平和のありがたみを新たにする、そんな象徴的な月でもあると思います。
イタリアのフィレンツェでは、日本の終戦の1年前の夏、1944年の7月の終わりから9月20日にかけて解放戦がありました。
ナチスドイツとファシスト政権対連合軍とパルチザンの間の解放戦は1943年7月から2年近く続くことになりました。
解放軍はシチリア島にまず上陸し、北上してきてフィレンツェ付近に到達したのが1944年の7月末です。
8月3~4日の夜、フィレンツェのヴェッキオ橋以外のすべての橋が破壊され、市街戦の後フィレンツェ旧市街地は8月11日解放されました。
周辺地域ではゲリラ戦が続き、フィレンツェ県が解放されたのは9月20日だそうです。
イタリア全土の解放は翌年4月の終わりです。
隣人が敵味方になる、この悲惨な終戦末期のイタリアの状況を淡々と描いた映画が、「サン★ロレンツォの夜」です。
トリュフ祭りで有名なサン・ミニアートで生まれ育ったタヴィアーニ兄弟監督自身の経験をもとに製作された映画だそうです。
1982年製作、カンヌ映画祭審査員特別グランプリ作品です。
戦争映画というと激しい戦闘シーンや極限状況、残酷シーンが連想されて、ちょっと苦手という方もいると思いますが、この作品はその辺を少しオブラートに包んでいます。
サン・ロレンツォの日は、8月10日。ペルセウス流星群の時期、この日に流れ星を見ると願いが叶うという言い伝えがあります。
それを掛けたストーリー仕立てなので、邦題は直訳なのですが、英語タイトルは「The night of the shooting stars」となっています。
20年ほど前にビデオを借りて初めてこの映画を見て、その後イタリアでテレビ放映されているのを見ました。
あらすじがわかっていても、涙なしでは見ることができない作品です。
下記は、解放戦当時のフィレンツェのドキュメンタリーです。
ヴェッキオ橋周辺の建物をよく見ると、戦後建て直された情緒のない様式だということに気づいていただけると思います。
橋の周辺建物を爆破して道をふさいだためです。
ヴェッキオ橋の隣のサンタ・トリニタ橋は、ルネサンスを代表する建築家アンマンナーティの代表作のひとつでもあったことから、唯一かつてのままの姿で、オリジナルの材料をできる限り用いて復元されました。
2020.8.12

shinako

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