トスカーナ州アレッツォ県の山奥、崖の上にそびえ立つ修道院ラ・ヴェルナへ行ってきました。
私が訪れたこの日は濃い霧がでていて、少し先も見えないくらいでしたが、その霧と冷たい空気がさらにキリッと張り詰めた神聖な雰囲気をかもしだしていました。
聖フランチェスコが1200年代に建てたというこのラ・ベルナ修道院。ここで聖フランチェスコは祈りをささげ、聖痕を受けたといいます。
よってキリスト教徒にとっては聖地ともいえる場所なのだそうです。
聖堂内では祈りをささげている人たちがいました。
じゃまをしないようにそっと見学…。
聖堂内、そしてこの修道院内にはアンドレア・デッラ・ロッビアの作品があります。
ルネッサンス期のフィレンツェ出身の彫刻家(主にセラミックが有名)のアンドレア・デッラ・ロッビアはフィレンツェの捨て子養育院のメダリオンの作者としても有名です。
ラ・ヴェルナの聖堂内には
“受胎告知”
“キリスト降誕”
などの彼の作品があります。
そして、さらに聖堂内には聖フランチェスコの衣装が展示されています。
聖堂を出て少し行くと長い廊下があります。
長い廊下の壁には聖フランチェスコの生涯が描かれています。
そして、この廊下のちょうど真ん中あたりに小さなドアがあります。
そのドアを開けると、外に出られるようになっており、そこには小さな洞窟があります。
大人の場合腰を曲げないと入れないような狭い入口の洞窟の中にあるのは、聖フランチェスコの寝床です。
寝床といっても、少し平らな岩。
森の中にある小さな小さなこの洞窟の中で聖フランチェスコは寝起きしていたのですね。
廊下を渡ると、いくつかの礼拝堂をがあり、中を見学できます。
そして、あるドアから、修道院の外側へと出ることができるのですが…。
ドアを開けて外に出ると、目の前にあるのは断崖絶壁。
この修道院が崖の上に建てられているのがよくわかります。700年以上も前にどうやってこんなに高い崖の上に修道院を造ったのか…。
その崖にそって、細い廊下があるのですが…廊下から下を見るのが怖いくらいの高さです。
この崖の廊下にも聖フランチェスコにまつわる伝説があります。
悪魔が聖フランチェスコをこの崖から落とそうと企み、崖際まで誘うのですが、聖フランチェスコが崖から落ちそうになったとき、岩が形を変え、聖フランチェスコが足を踏み外して崖の下に落ちてしまうのを防いだとか…。
さてさて、崖の廊下を渡り、また修道院内に戻り、今度は足場の確かな広場へと出ます。
広場のそばに小さな小道があり、崖の下へと降りることができます。
そこは正に森の中。
たくさんの木々と大きな岩に囲まれた場所でした。
ここでも聖フランチェスコは神に祈りをささげていたのですね。
苔の生えた大きな岩には、信者によってたくさんの十字架が刻まれています。
実は私がラ・ヴェルナを訪れたのはこれで2回目。
1回目は数年前の夏に来たのですが、今回の霧に包まれた冬のラ・ヴェルナはまた違った表情を見せてくれました。
ただ、その神聖な空気、修道院と自然の美しさはいつ来ても変わりません。
自然と調和した美しいラ・ヴェルナ修道院。
その700年以上もの歴史を、神聖な空気を、肌で感じた冬の一日でした。
2016.1.6

shiho

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