3月8日は国際女性の日、イタリアではミモザの日として定着している日です。
3月3日の日本のひな祭りに続いての女性の日なので覚えやすくもあります。
イタリアでは男性が職場や身近な女性に日ごろの感謝を込めて、ちょうどこの時期花盛りを迎えている春を象徴する花の一つ、ミモザの花を贈る習慣となっています。
(今年フィレンツェは1月からミモザが咲き始めてしまい、3月になるとその花は寂しい状況でした。写真は1月に撮影したものです)

この時期お菓子屋さんにはミモザケーキが並びます。

コロナ以前は公共交通機関や国公立の美術館の入場料が女性だけ無料のサービスがあり、女性にとってちょっとお得な1日だったのです。
日本でもお花屋さんを中心にだんだん浸透しつつあるミモザの日のようですが、かなりシリアスで重いメッセージのある日で、ひな祭りのようにお祝いとは言えない3月8日なのです。
1900年代初頭、男女同権を訴えるフェミニズム運動が、ヨーロッパでは社会主義運動と相まって始まりました。そんな折、アメリカでは、ニューヨークのシャツ工場が入ったビルの火災で、女性労働者123名男性従業員23名が死亡する痛ましい事故が起こりました。労働者の多くはイタリアや東ヨーロッパからの移民だったとのこと。
大量の死者が出たのは、劣悪な環境の従業員を管理するため外からカギをかけていたため、多くの従業員が火災から逃げる事ができなかったからと伝えられています。
経営者は裁判で無罪となり、遺族に十分な補償もなく大きな社会問題として取り上げられたそうです。
1908年3月8日、ニューヨークで15,000人の女性が「パンとバラ」のスローガンを掲げてデモ行進をしたのですが、これが国際女性デーの起源となりました。
3月8日を国際女性デー(International Women’s Day)として国連が制定したのは1975年と意外と歴史が浅いのです。
日本は終戦後、GHQの指令を受けた憲法改正で女性の参政権、教育や職場の男女平等が導入されました。家計は女性が握る伝統があるためか、日本社会ではフェミニズム運動は欧米に比べ意識され方が弱いように思います。
さて、イタリアでは今年の女性の日に関しての話題は明るいものではありませんでした。
コロナ禍での失業や収入ダウンは女性に偏り、ロックダウンや経済的ダメージから生じた生活のストレスのはけ口に、パートナーの男性から暴力を受ける女性被害者も増えている現状がニュースで報道されました。
そこで今年のミモザの日には、男性からの暴力被害の象徴として赤いパンプスのデモも加わりました。イタリアもジェンダー格差の順位が先進国の中でかなり低くて76位、日本はG7ワースト1で121位。
日本の場合、男女の役割分担があるだけで差別ではなく、それがジェンダー格差の統計に過大に表れているとも考えられなくもありません。でも、ヨーロッパのジェンダー平等劣等生のイタリアで生活して思うのが、日本に比べての女性の社会進出度の高さで、76位と121位の差は感じてしまいます。
経済成長をうまく遂げつつある国は順位を上げていっている国が多いことを考えても、社会のため、自分のために取り組むべき有意義な課題だと思います。
女性の日が過去の記念日となるよう意識を持って生活していこうと思いました。
2021.3.10

shinako

最新記事 by shinako (全て見る)
- フィレンツェの守護聖人 - 2021年6月23日
- フィレンツェ、ダンテの特別展とジョット - 2021年6月16日
- フィレンツェ郊外のショッピングモール - 2021年6月9日
コメントを残す