フィレンツェでは、ロックダウンがようやく終了したのが1月7日、これで自由になるのだろうと期待していたのですが、1月8日、9日の週末は外出制限となり、天候にも恵まれず、お出かけ日和とは程遠い感じでした。
日本も寒波で大変と聞いておりますが、フィレンツェも例年並みの寒さとなり、今週は天気が良いとはいえ、最低気温マイナス3度となる寒い1週間の予報です。
今回は、「オルティコルトゥーラ庭園」をご紹介します。オルティコルトゥーラは日本語で菜園にあたります。ここは、フィレンツェ中心部からみると、ミケランジェロ広場とは逆方向に位置しています。
現在はフィレンツェ市の管理で、公園内には図書館もあって市民の憩いの場となっている庭園なのですけれど、創設はミケランジェロ広場より以前です。1852年に地元の貴族階級を主要メンバーとする園芸植物団体が土地を提供して整備が始まり、国際的な植物の見本市が開催されるなど、イタリア統一直後のフィレンツェを象徴する最先端の庭園だったようです。
第一次世界大戦後にはこの広大な庭園の維持が困難になり、市の管轄となったのですが、長らく手入れが十分されぬままでした。2000年代に入ってから再整備が進み、温室でのイベントが開催されるようになりました。
この庭園の象徴が1880年の博覧会にあわせて建造された大温室で、クリスタルの館と呼ばれ、建造当時イタリア一の規模だったそうです。当時の上流市民のエレガンスを感じさせてくれる建物です。
2014年には期間限定で珍しい蝶を温室内に放して楽しむイベントが開催されました。
美しいガラス張りの温室も普段は空っぽの内部を外から覗くのみで少し残念です。
この公園が残念な状況になってしまっているもう一つの要因が、造園当時はなかった線路が公園を分断してしまっていることです。
それはともかくとして、この公園の線路を挟んでさらに丘を上がったところに、「ルネサンスにおけるアテネ」場所があります。ここからは素晴らしいフィレンツェのパノラマを楽しむことができます。
このエリアのシンボルが、ガウディ風の蛇の噴水です。
近隣住民にとっては、フィレンツェの守護聖人の祝日サン・ジョヴァンニ(6月24日)に打ち上げられる花火の鑑賞スポットになっています。
ミケランジェロ広場が観光客のメッカなのに対して、オルティコルトゥーラ庭園は新聞や本を広げるお年寄りや、学校帰りにくつろぐ若者たち、休日には小さな子どもを連れた家族でにぎわう穏やかな風情です。地域住民のための理想的な憩いの場となっています。
観光の街とは違うフィレンツェを垣間見ることができる公園です。
2020.1.13

shinako

最新記事 by shinako (全て見る)
- フィレンツェの守護聖人 - 2021年6月23日
- フィレンツェ、ダンテの特別展とジョット - 2021年6月16日
- フィレンツェ郊外のショッピングモール - 2021年6月9日
コメントを残す