フィレンツェでは、ウフィツィ美術館に先駆けて、ピッティ宮殿が再開されました!
同時に新しい特別展も始まったので、早速見学してきました。
現在、開館時間は8:30~13:30となっています。
チケットオフィスや宮殿入り口には、消毒薬が置かれていました。
大公の宝物館(旧銀器博物館)は、メインの地上階のみ見学することができます。
展示されている宝物だけでなく天井や壁面のフレスコ画もバロック時代の重要な作品です。
メディチ家の主だった工芸コレクションは鑑賞することができます。
2階に上がる階段が閉鎖されており、上階に展示されているメディチ家由来と寄贈された近代から現代のジュエリーコレクションやメキシコのヒスイの仮面などが見学できませんでした。
宮殿内でもっとも有名なセクションであるパラティーナ美術館の行き止まりになっている区画は閉ざされていました。
王宮区画もソーシャルディスタンスを保たなければいけませんので、すれ違うことができないと判断されたためか閉ざされていました(巨匠の代表作はそこにはありません)。
新型コロナの影響で開催が中断されていたローマのラファエロ展が8月30日までに延長されたため、パラティーナ美術館から大量に貸し出されているラファエロの名作が戻ってくるのは9月に入ってからとなりそうです。
でも、小椅子の聖母は展示されています。
そして、近代美術館に上がる途中にある特別展は、パラティーナの閉ざされてしまった区画に展示されているジョヴァンナ・ガルツォーニというバロック時代に活躍した女性画家の作品展です。
ジョヴァンナ・ガルツォーニは、マルケ州(当時教皇領)の親族が画家や彫金師という恵まれた家庭環境に1600年に生まれ、10代にヴェネツィアで活躍する画家の叔父の下で油絵の技法を学びました。教会に作品も描いたのですが、細密画、ボタニカルアートの分野で活躍しました。主な作品は、羊皮紙にテンペラで描かれています。
ジョヴァンナは、フェルディナンド2世の妃、ヴィクトリア・デッラ・ローヴェレに大変気に入られ、1642年から10年近くフィレンツェの宮廷で細密画を数多く描きました。
現在、パラティーナ美術館にそれらの作品が残されているのです。
花瓶に生けられた花
子椅子の聖母の模写
ジョヴァンナは1619年にもフィレンツェを訪れていて、その時同じく女性画家のアルテミジア・ジェンティレスキと知り合っていたかもしれません。
1630年から2年間ナポリでアルテミジアと同じ宮廷で仕事をし、1632年トリノの宮廷でフランスから嫁いでいた妃の加護を受けていましたが、公爵の死をきっかけに、アルテミジアはイギリスのチャールズ1世の宮廷で2年ほど過ごしました。
ジョヴァンナは、そこからパリへ行き、リシュリューの宮廷人のもとで活躍した後、フィレンツェで10年間、その後ローマに本拠地を移します。
そして、ローマのアカデミア・サン・ルカのメンバーとして確固たる地位を築き、70歳で亡くなりました。
彼女の旅から旅への人生を支えたのが兄弟のマッテオだそうです。
若いころいったんは結婚したものの、独身に戻ったジョヴァンナの活躍を支えたのは家族でした。
若いころの自画像と晩年の肖像画が会場に飾られています。
美しく年を重ねるとはこういうことなのかなと思わされる肖像画です。
10代の自画像
晩年の肖像画
さて、この特別展を見終わったら、いったん屋外に出て、衣装博物館へ外からアクセスします。
衣装博物館の現状は、以前取り上げた履物の特別展が規模縮小で続けられているのみで寂しい状態です。
そこから屋内の渡り廊下を通り、近代美術館へ到着となります。
パラティーナ美術館の上の階に当たります。高い分景色もきれいですが、強い日差しを遮るため鎧戸が下りていて残念でした。
近代美術館の区画も行き止まりになっているマッキャイオーリ派の小さな展示室は閉じられていて残念でしたが、普段から閉じられていることのある展示室なので仕方ないかなと思いました。
いつまで開館時間の短縮が続くのか不明ですが、見学者も少なく、貸し切り気分で好きな作品に見入ったり、写真を撮ったりしていたらあっという間に閉館時間になってしまいました。
ボリュームのある宮殿なので時間配分にお気をつけください。
そして、トイレ事情があまりよくありません。
宮殿地下男女それぞれ3~4ブース、近代美術館衣装博物館に男女それぞれ1ブースと身障者用です。
見学者が多いパラティーナ絵画館内部にはお手洗いがありませんので、ご注意ください。
2020.6.3

shinako

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