1299年に建設が始まり、1530年にトスカーナ公国が誕生するまで、フィレンツェ共和国の政庁であったベッキオ宮殿。現在でもフィレンツェ市の市庁舎として利用されています。
宮殿の中でも重要な部屋、五百人広間(写真上)。こちらの広間は現在でも市のイベントやコンベンションに利用されたりしていますが、何もない時には見学をすることもできます。
広い広い広間は、天井も、壁もそれは素晴らしい装飾で埋め尽くされています。壁や天井の装飾は16世紀半ばコジモ1世の依頼でヴァザーリの工房によって手掛けられたそうです。
五百人広間の天井中央には、コジモ1世の肖像があります。
広間の脇に並ぶ数々の素晴らしい彫刻の中にはミケランジェロの作品「勝利」も。
何気なく広間に置いてある作品がミケランジェロ作というのも、フィレンツェならではの贅沢ではないでしょうか。
そして、広間の壁を埋め尽くすヴァザーリの壁画。
その広大さ、ダイナミックさには驚きにも似た感動を覚えますが、これらの壁画の裏に隠された秘密を知ると、この五百人広間にいることにドキドキさえしてきます。
その秘密とは…このヴァザーリの壁画の裏にレオナルド・ダ・ヴィンチの「アンギアーリの戦い」が隠されているというのです。
ヴァザーリはレオナルド・ダ・ヴィンチの作品を示す暗号として“Cerca trova”(探せば見つかる)という言葉を壁画に残したのだとか。
ヴァザーリの工房が五百人広間の壁画と天井画を依頼される前に、レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロに依頼があり、しかし、彼らの作品は未完で終わったと言われています。
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ヴァザーリ…ルネッサンス期の巨匠たちが、この部屋で仕事に取り組んでいたことを想像するだけで、その場に自分がいると考えただけで感動してしまいます。
ベッキオ宮殿の見所はもちろん五百人広間だけではありません。宮殿内には大小様々な部屋があります。壁画、天井画、飾られている絵画や彫刻、家具…すべてが歴史ある芸術品で、隅から隅まで見ていると時間がいくらあっても足りません。
多くの部屋の中でも私のお気に入りは、フィレンツェの父とも呼ばれるコジモ・イル・ヴェッキオの生涯が天井に描かれた小さな間です。
サン・ロレンツォ教会の建設にあたり、ドナテッロが教会の模型をコジモ・イル・ヴェッキオに差し出しているシーンも天井画にあります。
また、他の部屋には『神曲』の著者であるダンテのデスマスクもありました。
地理や航海術に興味のあったコジモ1世がヴァザーリに設計させた「地図の間」。
世界地図の中には日本もありました!“GIAPAN”と書いてあるのが日本ですね。
島国にはなっていますが…現在の日本地図とは似ても似つかない形…笑
当時のヨーロッパにとって、日本はまだまだ未知の国だったのでしょうね。
そして、「百合の間」にはドナテッロ作の“ユディットとオロフェルヌス”が。
こうした国宝級の作品が、本当に普通に、手に届きそうな距離に置いてあるのでびっくりです。
他にも、見所たくさんのベッキオ宮殿。一部屋一部屋ご紹介していきたいくらいなのですが…それは、是非、フィレンツェを訪れた際のお楽しみに取っておいていただくということで。
こんなに素晴らしい市庁舎を持つ町に住んでることを誇りに感じた1日でした。
2015.11.25

shiho

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