9月2日の今日、2020年も残すところ120日、そして満月です。
フィレンツェは、8月最後の週末から秋の始まりを宣言するかのように、雷雨もあるぐずついた空模様となっています。
さて、茄子は夏の野菜ですが、秋茄子というように、秋に出回る茄子は夏の暑い盛りよりおいしいそうです。
インド原産の茄子が日本に伝来したのは奈良時代と古く、それに比べるとヨーロッパではイスラム文化経由で伝わり、11世紀以降と考えられているので、日本よりヨーロッパのほうが歴史の浅い野菜です。
イタリアでの伝統的なナスを使ったレシピは、イスラム支配の影響が強く残るシチリア料理に多いのもうなずけます。
今回はそんなシチリアの、パスタ・アッラ・ノルマと呼ばれる代表的なシチリアのパスタ料理を紹介します。
イタリアの料理は材料がそのまま名前になっているものが多い中、この料理は有名なイタリアのオペラ「ノルマ」からとられています。
なぜなら、このオペラの作曲家ビンチェンツォ・ベッリーニがシチリアのカターニア出身で、このパスタ料理も元々この町の郷土料理だったそうです。
ニーノ・マルトリオという劇作家が、この料理を食べた時の印象から名付けたとされています。
作曲家ベッリーニは、地元の音楽一家に生まれ、幼少期から音楽を習い、6歳で作曲を始めた神童だったようです。
当時カターニアは、ナポリシチリア王国の町だったので、首都ナポリの音楽学校に通い、才能を見出され、卒業後ミラノスカラ座で仕事をしていた時の代表作がノルマです。
その後拠点をパリに移して、ロッシーニの後継者と期待され活躍するも、34歳の若さで病死してしまいます。
遺骨はフランスで葬られたのち、実家のカターニアに移されたそうです。
オペラはYouTubeからご覧いただけます。
パスタはというと、
トマトソースにバジルを効かせ、揚げ茄子を加えて仕上げたソースにパスタを絡め、リコッタサラータ(塩味の水分がよく切れて硬いリコッタチーズ)を荒くすりおろしてできあがりです。
揚げなすは水抜きして素揚げする方法と、小さめのダイス切りにして小麦粉をまぶして中はトロリ、外はカリッと仕上げる方法もあります。
茄子のアクが気になる場合は、あく抜きを兼ねて水抜きをしっかりして素揚げしたほうがよく、茄子のアクが気にならなければ茄子のおいしい季節なので1センチ弱のダイス切りにして小麦粉をまぶして揚げた方が手間も時間も省けてよいかもしれません。
水抜きする場合小さめのナスなら輪切り、薄めにスライスして粗塩をまぶして重しをしてナスから水分が出すのを待ちます。1時間半ぐらい待つとかなり水が上がってきます。
浅漬けのようになったナスをよく絞り、塩抜きのために水でさらして再度絞り、揚げる前にキッチンペーパーで表面の水分をよく乾かします。
表面に水分が残っていると、揚げる時油が跳ねるので気をつけてください。
トマトソースはトマトのおいしい季節でもあるので、生から作ったらよいのですが、私は手間を省いてトマトピューレを使いました。
【パスタ・アッラ・ノルマの作り方】
にんにくと赤玉ねぎのみじん切りを、オリーブオイル大さじ1で香りが立つまで弱火でじっくり炒めます。
トマトピューレ200~400g(量はお好みで)を加えて少し煮詰めていきます。
この時バジルの軸の方を加え、仕上げで取り除き、揚げた茄子とフレッシュバジルの葉をくわえます。
塩加減は最後に整えてください。
パスタは茹で上がる少し前に、ソースと合わせて加熱して仕上げます。
お皿に盛りつけて、リコッタサラータをたっぷりかけていただきます。
彩も美しく、揚げ茄子がトマトソースに変化と深みを出してくれ、癖になるおいしさです。
パスタはシチリア伝統のショートパスタCasarecce(カーサレッチェ)を使いました。
結構シンプルな材料で、シチリアらしく茄子とリコッタサラータが使われています。
海の町のパスタなのに、魚介が全く入らない農民の伝統レシピのような料理です。
リコッタサラータが手に入らなければ、代わりにペコリーノロマーノやパルミジャーノレッジャーノを少量かけてもよいかもしれませんし、モッツァレラを細かくちぎってのせてもよいと思います。
茄子のアクはポリフェノールなので、アク抜きはなるべくならしない方がいいようです。
今回は、茄子を水抜きして素揚げするという王道の方法で調理しました。
でも、水抜きなしで小麦粉をまぶして揚げた茄子をパスタに大量にのせて、ソースやチーズと和えながら食べる方が好みです。
ぜひお試しください。
2020.9.2
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