フィレンツェには、中心街を囲むように門が幾つかあります。
そのうちの一つが、ローマに向かう方面にそびえ立つ、ローマ門「ポルタロマーナ」です。
他の門に比べ、ひときわ大きく、その雄大さを感じずにはいられません。
さて、この門の内側の小さな広場には、実は、2つのフレスコ画があります。
1つは、ロマーナ門の大きな扉の上部にあるもの。
フランチャ ピージョによる、聖母子と4人の聖人が描かれています。
そしてもう1つは、ちょうど、それと対面するかのように、正面の建物の上部に描かれています。
3階建ての最上階部分の壁面いっぱいに描かれている、フレスコ画。
よく見ると、中心の窓を境に3部構成で描かれているのです。
まず、右側。
こちらには、中世の時代からルネッサンス期にかけて活躍されたフィレンツェにとって、とても重要な人物が描かれています。
ダンテ、ジョット、マサッチョ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ロレンツォ・イル・マニフィコ、パオロ・ウチェッロ…など、蒼々たるメンバーです。
そして、左側。
こちらには、1900年代中頃のフィレンツェの著名人が描かれています。
オットーネ・ロサイ、アルデンゴ・ソッフィチ、プリモ・コンティ、パピィ二 そして、このフレスコ画を手掛けた芸術家本人であるマリオ・ロモリ。
自分自身を描いてしまう所、なんともイタリア人らしいですね。
マリオ・ロモリが、このフレスコ画を手掛けたのは、1950年代。
実は、このフレスコ画を手がけるずっと前の1616年、ここには、最初のフレスコ画が描かれていたのだそうです。それが、通りゆくフィレンツェ人たちに、とても評判が悪く、風雨にさらされていたのでした。
1953年、当時のフィレンツェ市長がそれを挽回すべくコンペを開催し、選出された画家がマリオ ・ロモリだったのです。
復元された「フィレンツェの生活」。
窓の上には、聖母マドンナとフィレンツェの守護人サン・ジョバンニが描かれ、今日のフィレンツェを見守ります。
フィレンツェの街の中を歩くと、こんな歴史が所々見え隠れしていて、それを知るのもまた、楽しいものです。
2017.10.25

yuki

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