11月、地中海性気候のイタリアでは、もっとも雨の多い時期にあたります。
ヴェネツィアの海面上昇「アクア・アルタ」の大きな被害は、すでにご存じだと思うのですが、イタリア中部から北部全域にわたってかなりの被害が出ています。
フィレンツェでも、アルノ川の水位が上昇しています。
一昨日サンタトリニタ橋から見たヴェッキオ橋。
そしてサンタトリニタ橋の橋脚に当たる水の勢い。
吸い込まれそうな勢いを感じます。
そこで、フィレンツェでのアルノ川の氾濫の歴史をお話しましょう。
1333年11月4日、ヴェッキオ橋が流され、12年後に架けられたのが今の橋です。
1547年8月13日、橋は残ったのですが、100人以上の犠牲者が出ました。
1557年9月13日、サンタトリニタ橋とカッライア橋が架け直され、サンタクローチェ地区は3.6メートルまで水没。
1844年11月3日、被害は地盤の低いサンタクローチェ、サンニコロ地区に限られ、日曜のミサの時間で警報も伝わりやすく、被害は少なかったそうです。
1966年11月4日、被害の規模が広く、死者は35名、サンタクローチェ教会をはじめ多くの美術品にも被害が出たことで世界的に知られる氾濫です。
やはり11月が多いです。
アルノ川というとフィレンツェのイメージが強いのですが、ピサも、アルノ川下流流域に栄えた街です。
ピサのアルノ川氾濫ですが、
1169年9月から今まで、9回も氾濫があったそうです。
1680年5月19日、地盤の低いところで4.6メートル。
1777年、甚大な被害を受け、防水壁を築いて増水時の被害を抑える対策が取られました。
1869年12月10日、死者も出て、建造物に被害が出る大規模な氾濫。
1913年1月12日。
1920年1月6日、エピファニアの祝日、ヴィクトリオエマヌエーレ橋がながされる。
1937年12月、防水塀の上に擁壁を張りめぐらし、5.75メートルの増水を凌ぐ。
1944年11月2日、斜塔のある「奇跡の広場」まで水がつかる被害。
1966年11月4日、第2次大戦後再建されて間もないソルフェリーノ橋が崩壊。
ピサは、先日、11月17日に、危険水域に達し、翌日18日は学校は休校。
より下流域にあるピサの方が氾濫は多いようです。
昔は100年に一度のペースだった氾濫が近年頻繁に起きているのが気になります。
日本も記録的な水害の年でしたが、イタリアも水害の年として記録されそうな2019年です。
イタリアは太陽の国というイメージが強いのですが、冬場は雨が多いのです。
日本と違って、軽量コンパクトで丈夫、しかも安価な雨具はイタリアにはほとんどありません。
イタリアにお越しの際はぜひ雨具の準備もお忘れなく。
2019.11.20

shinako

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