すっかり春になり、風は冷たくでも陽は暖かく、気持ち良い日が続いているフィレンツェです。
今日はおコメの話をさせていただきます。
3月19日、聖ヨセフの日が、イタリアでは父の日です。
お祝いの日にはお菓子が付き物で、トスカーナの父の日のお菓子はフリテッリと呼ばれる素朴なお菓子です。レーズン入りコメ・ベースのカスタードクリームを小さく丸めて揚げて、砂糖をまぶしたもの。
カーニバルのころからお菓子屋さんで見かけるようになります。
WILO-MA, Public domain, via Wikimedia Commons
イタリアでのコメの栽培は中世イスラム人との交易でもたらされたのが起源だといわれています。そしてヨーロッパ1のコメ生産国となっているのです。
コメは、かつてはシチリア島でも盛んに生産されていたそうですが、近代以降の一大生産地はピエモンテ、ロンバルディア、エミリア、ベネト地方の広大なポー川流域の平野となっています。水田をリザリアと言い、ミラノからトリノへ移動する車窓から、まるで日本の田園地帯のような風景を眺めた記憶があります。
イタリアでは、コメの産地でも「主食」はごはんという考え方はありませんが、近年健康志向の高まりやおコメを主食とする多様な地域の人が住むようになったニーズに合わせ、多彩なコメの品種が栽培、販売されており、料理に合わせて様々な品種を使い分ける事ができる大変ありがたい環境です。
しかも販売単位は1キロか500gの真空パックなので、たまにしかおコメを調理することのない人も気兼ねなく購入できます。

イタリアのコメの伝統的な食べ方はというと、リゾット、コメ入り具沢山スープ、アランチーニと呼ばれるシチリアのライスコロッケなどです。また、パスタ同様お湯に塩を加えてアルデンテでゆでこぼししたあと、ライスサラダ、バターライスにするのが伝統的な調理法です。
日本のようにコメ本来の成分を余すことなく使い切り、白米を美味しく食べるということがないので、おコメの微妙な味には無頓着な消費者が多いのか、パスタと同じように10分程度の加熱時間で食べられるように下処理したものも販売されています。
本来なら30分以上調理が必要なバスマーティ玄米の10分タイプがあったので購入してみたのですが、バスマーティ独特の香りも薄く、炊飯器で長時間保温されたような風味でがっかりしました。

大手メーカーは健康志向のニーズに合わせ黒米も販売しているのですが、消費者ニーズからか下処理された短時間調理品のみでがっかりしていたところ、Coopのオリジナルハイクオリティーシリーズにイタリア産黒米があるのを見つけてさっそく調理してみました。(調理時間35-40分表記)
パッケージの写真通り単品で炊くと食感がいま一つだったので、イタリアのジャポニカ種、Originarioと半々にしてみました。食感は良くなったのですが、それでも黒米独特の香りと味は黒米100パーセントと変わらず、色もかなり黒く炊き上がりました。

イタリア人の食への探求心がコメにも生かされ、日本でもレアな黒米(Riso Nerone)がスーパーで普通に手に入ることに感謝です。
私がご飯を炊くとき使っているジャポニカ種のOriginarioは、粘り気があり、とろみをつけるのによいからか、イタリア料理ではお菓子や、アランチーニと呼ばれるライスコロッケに向いていると紹介されていました。
単身世帯が増え、食の国際化が進んで本場顔負けの世界の料理を楽しむことができる日本なので、コメの多品種小単位販売が進むとありがたいなと、帰国するたびに思っています。
コロナウイルス予防接種が始まったものの、まだ不安要因が残る感のある世界情勢ですが、心身の健康管理に気を配りながら楽しみを見つけてすごしてくださいませ。
2021.3.17

shinako

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