7月も終わり、会計事務所などお堅い羽振りのいい仕事をしている人たちは1か月のバカンスへ突入。
昔ほどではないけれど、イタリアは色々なことが滞る8月なのです。
街中のイベントも一挙に減り、毎月無料で発行されているイベント情報冊子も7、8月とひとまとめにされています。
日本では8月は夏休み、お盆休みでイベント満載といったイメージなので、なんとも寂しい印象です。
そんな8月ですが、フィレンツェの伝統的な宗教的なイベントが、8月10日サンロレンツォの日にあります。
メディチ家の教会といってもよいほど、メディチ家が力を注ぎ続けた教会で、外観は質素ですが、内部はブルネレスキの建築美とルネサンスの作品、メディチ家由来の宝物であふれています。
国立美術館として、別入り口になっているメディチ家礼拝堂、ミケランジェロ設計の新聖具室は実はこの教会の一部です。
そしてラウレンツィアーナ図書館もこの教会の一部を構成しています。
歴史的にもサンタフェリチタ教会と並んで、393年からの歴史を誇る、フィレンツェで最も歴史ある教会で、その重要度が計り知れるかと思います。
さて、このサンロレンツォ教会のその名前になっているサンロレンツォの聖人の日8月10日、この教会前の広場で、毎年お祭りが開催されます。
網焼きにされても痛みすら感じなかったことがこの聖人のシンボリックなエピソードで、この聖人のシンボルはグリル(鉄格子の様な)がともに描かれていること。
人気のある聖人で、しかもメディチ家の守護聖人でもあるので、フィレンツェの宗教画には大変よく登場します。
網焼きにあっても神に守られて痛みすら感じなかったエピソードから、火を扱う職業の守護聖人です。
消防士、料理人、お総菜屋さん、お菓子職人、ガラス職人、貧しい人など。
けっこう食べ物に関する職業の守護聖人なのです。
そして亡くなる前の言葉が、こちらはもう焼けたからひっくり返してなさい、そしてお食べ。だから昔はこの聖人の日、肉の塊が焼かれてふるまわれていて、それがフィレンツェ風Tボーンステーキの由来という説もあるそうです。
朝10時から時代行列が行われ、暑さが落ち着いた夜9時、スイカとラザニアがこの教会の広場でふるまわれ、同時にコンサートが開催される予定です。
なんとも夏らしいお祭りです。
もしこの日フィレンツェにご滞在なら、ぜひ広場に足を運んでみてください。
この日が土曜日なので、2週間の夏季休暇の始まりに当たる人たちも多く、この日から住人はさらに街から離れ、住宅街は一層寂しくなる感じです。
2019.8.6

shinako

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