ワインの産地のトスカーナでは、9月から10月にかけてブドウの収穫と醸造の忙しい季節です。
インプルネータというフィレンツェから車で20分ほどのキャンティ地方の街では、イタリアで一番歴史のあるブドウ祭りが9月の最終日曜日開催され、今年は第93回目の開催だったようです。
100年足らずの歴史と意外に浅いのは、昔は繁忙期で皆忙しく祭りを開催する余裕がなかったのかと思います。
地元のワイン用のブドウがおいしく熟すこの時期のトスカーナの伝統菓子
スキアッチャータ・コン・ルーヴァ Schiacciata con l’uva
ブドウ入りのスキアッチャータと呼ばれる素朴なパン生地のお菓子が、パン屋さんや一部スーパーでも販売されます。
このお菓子の歴史は紀元前5世紀ごろのエトルリアからという説もある程古いお菓子。
材料はとてもシンプルで、小麦粉、イースト、水、塩、オリーブオイル、砂糖、トスカーナの土着品種のワイン用の黒ブドウCannaiola。
品種は書かれてていませんが、「Schiacciata用のぶどう」と書かれた黒い粒の小さなブドウが、この時期になるとスーパーマーケットでも販売され、家で作る人も多いです。
飾りっ気のないごくごく素朴なお菓子、作り方も大胆です。
小麦粉500グラム、水、イースト、塩ひとつまみで、まずパン生地をを作ります。
1時発酵2時間程ののち、小麦粉50グラム、オリーブオイルを大さじ4を加えて、さらに5分ほどこねて、生地を2つに分け、1センチほどの厚さに麺棒を使って伸ばします。
のばした生地をクッキングシートを敷いたオーブンの天板に敷き、洗って房を外したブドウの粒800グラムの半量を均一にばらまき、砂糖大さじ1とオリーブオイル大さじ2をふりかけます。
残り半分の生地を上にかぶせ、残りのブドウを均一に散らし、砂糖大さじ1をふりかけ、オリーブオイル大さじ2をちらします。
180度のオーブンで50~60分焼いてできあがり。
初めてこのお菓子を食べたのはもう20年近く前。
ワイナリーで出された昼食のデザートでした。
味は、ブドウとふりかける砂糖の分量次第で、家庭によって、お店によって様々です。
このお菓子がおわりを告げるころ、よく見るようになるのが、カスタニャッチョと呼ばれる栗の粉を使ったもっと地味なお菓子。
イタリアのお菓子はシンプルすぎていまひとつと思ったものですが、慣れてくると素材の味と季節感、土地の歴史や文化につちかわれた滋味深さを感じます。
2019.10.2

shinako

最新記事 by shinako (全て見る)
- フィレンツェの守護聖人 - 2021年6月23日
- フィレンツェ、ダンテの特別展とジョット - 2021年6月16日
- フィレンツェ郊外のショッピングモール - 2021年6月9日
コメントを残す