南トスカーナにある現代アートの屋外美術館「タロットガーデン」。
私がその存在を知ったのは5年ほど前。
一度見てみたいけど遠いなー、
何かのついでに行けたらなー、
そんなことを思いつつ忘れかけていたのです。
仕事の縁で出会った陶芸愛好家の女性から、「フィレンツェ滞在中、日帰りで行けそうだけど、自分一人では自信がない」と相談されました。
彼女は、タロットガーデンの制作者、ニキ・ド・サンファルのファンで、死ぬまでにこの庭を訪れると決めていたそうです。
これも何かの縁、この機会を逃すと私は一生観ずに終わるかもしれないし、パッションを持った人と回ると格別楽しいに違いないと思い、週末に公共交通機関で行ってきました。
フィレンツェから車で片道2時間半、または、公共交通機関なら電車とバスを乗り継ぎ4時間強。(帰路は公園から最寄り駅、Capalbioへのバスが無いため、地元ハイヤー利用)
余裕を見て1本早い電車に乗ったので、ピサをハイスピードで見学して、ローマ行きに乗り継ぎました。
涼しくなったとはいえ、まだ日中はかなり暑くなるこの時期、浜辺には海水浴を楽しむ人影が残っていました。
車窓を楽しみながらほぼ定時に公園最寄り駅Capalbio(カパルビオ)到着。
早速、駅のタバッキでバスの切符を買おうとしたのですが、売り切れていたらしく、別の徒歩5分ほどのところのタバッキを案内されました。
バスの時間まで余裕があってよかったです。
バスは地元の子供たちのみ。
公園最寄り駅で下車したのは私たちだけ。
不安を感じながら公園の入り口の方へ歩いていくと、ゲート前はちょうど開園時刻の午後2時半ということもあってか、列ができていました。
ゲートをくぐるとそこは写真で見たニキのカラフルでユニークな世界が広がっていました。
皇帝の内部はガウディのグエル公園からのインスピレーションでこの庭園の構想が始まったということをより強く印象図ける造りです。
狭い階段を上って上に登って回遊してオブジェの中を楽しめます。
女帝の内部はアーティストが製作中使用した鏡張りのミニアパートメント。
鏡張りというと不気味な映り込みを想像していたのですが、モザイク状に張られた鏡は、磨かれたシルバーのような明るい輝きを放って、心身にエネルギーを浸透させてくれるような高揚感を感じました。
カラフルでユニークな曲線で結ばれたオブジェと、公園内のオブジェが製作される前からあっただろう大きな奇怪な形に曲がった木々、マレンマ(南トスカーナ)の青い空、個々の自然の中にこれらのオブジェが存在することが屋外美術館のゆえんなのだろうと思いました。
タロットを深く知る人はオブジェの配置やフォルムからいろいろなことが連想できるのだろうなと思います。
タロットの知識がない私も作家のエネルギーを感じて、力が湧いて気持ちが軽くなっていくのを感じて帰ってきました。
私たちが訪れた土曜日は、時間を追うごとに人が増え、来たときは広すぎるように見えた駐車場が5時過ぎには程よく埋まり、園内は混雑を感じるほどになっていました。
じっくり作品と対話したいなら平日を狙った方がよいかもしれません。
帰路は、ミュージアムのスタッフから教えてもらったハイヤーで無事駅に戻り、夜9時半過ぎフィレンツェに無事戻りました。
2019.9.25
コメントを残す