イタリアは、世界遺産の数が世界で最も多く、魅力あふれる国です。
いつかイタリア旅行をしたいと思っているかた、旅行の計画があるかた、もう1度行きたいかた。イタリア旅行の前に知っておきたいことをおさえておけば、イタリア旅行がもっと楽しいものになるでしょう。
イタリア旅行の前に知っておきたいことを、基礎編、ホテル編、レストラン編、観光編にわけてご紹介します。最終回は、観光編です。
イタリア旅行の前に知っておきたいこと 観光編
1. 危険なめにあわないために。スリが多い場所と対策
イタリアでは、残念ながらスリが多くいます。
人の集まる場所では、特にスリに注意が必要です。スリの多い場所では、スリに合わないよう対策をしましょう。以下、スリが多い場所とその対策法です。
スリが多い場所
・空港
・駅周辺、駅構内
・地下鉄内
・列車内
・観光名所
・レストラン
・ホテル
<空港>
荷物が多い空港では、荷物に充分注意しましょう。
特に置き引きには注意です。
ほんのわずかの間でも荷物から離れないようにしましょう。
<駅周辺、駅構内>
都市の駅周辺は、治安が悪いため、長居しないように、暗い時間帯は避けるようにしましょう。
駅構内では、切符を買うために財布を出すと、財布をさっと取られてしまうケースがあります。周囲にあやしい人がいないか確かめてから財布を出すようにしましょう。
<地下鉄内>
地下鉄は特に治安が悪い場所ですので、注意が必要です。混雑している車両は避けるようにしましょう。時間に余裕をもち、混雑していたら次の電車を待つのが賢明です。
混雑している車両に乗る際は、自分の荷物は自分で守ることをしっかり頭に入れておき、かばんは体の前で抱くように持ちましょう。ショルダーバッグを肩にかけたまま、リュックを背負ったままでは、いいカモになってしまいます。
<列車内>
フレッチャロッサ(イタリアの新幹線)の列車内も油断できません。
扉付近のスーツケース置き場にスーツケースを置いても盗まれる場合があります。チェーンを持参してスーツケースを固定しておくか、列車のドアが開いているときにスーツケースを見に行くといった用心深さが必要です。
お手洗いに行くときは、手荷物を持っていきましょう。くれぐれも手荷物を座席においておかないようにしましょう。
<観光名所>
観光名所はいつも人が多く、観光者に混じってスリもたくさんいます。
美術館の列に並んでいるときなど、立ったままでいるときは、荷物が自分の前になるように持ちましょう。
ファスナーのないトートバッグは中に入っているものが盗まれやすいので、ファスナーのついているバッグを持ち、常にファスナーを閉めておかなくてはいけません。
財布だけでなく、スマートフォンも狙われやすいので、注意しましょう。
観光名所で、写真撮影に夢中になってしまい、スリにあってしまったというケースもあります。写真を撮るときも、常に荷物に意識を向けていましょう。
<レストラン>
食事に夢中になっているうちに置き引きに合うケースもあります。荷物は目の届くところに置いておきましょう。人が通る側に荷物をおかない、椅子に荷物をかけておかない、といった注意が必要です。荷物の置き場に困ることもありますので、できるだけ小さなバッグで必要最低限のものだけ持っていくというのも対策のひとつです。
<ホテル>
ホテルでも油断は禁物です。ロビー、レセプションでの置き引きには気を付けましょう。ほんのわずかの間でも荷物から離れないようにしましょう。
ホテルの部屋でも安心はできません。外出する際に、部屋の目につくところに貴重品を置いておいたり、スーツケースを開けっ放しにしたりしておくと、盗まれてしまう場合があります。貴重品はセイフティーボックスに入れ、スーツケースは閉めて外出しましょう。
2. やっぱり気になるトイレ事情
あまりトイレ事情のよくないイタリア。旅行中は必ず必要になるトイレですから、イタリアのトイレに対応できるようにがんばり(?)ましょう。
数が少ない
トイレを見つけるのにも苦労しますが、いざトイレに行っても、個室の数が少ない場合が多く、長い列になっていることも。トイレには時間の余裕をみましょう。
トイレットペーパーがない
ペーパーホルダーはあるのにトイレットペーパーがないということはよくあります。公共トイレだとペーパーホルダーさえなく、トイレットペーパーが設置されていないところもあります。ティッシュの用意を忘れずに。
便座がない
イタリアでは、便座のないトイレがよくあります。便座もふたもなく、便器がむき出しの状態です。イタリアでは、便座があるほうが逆に不衛生だと考えられているためで、イタリア人は外のトイレでは便座があっても中腰でトイレを使います。便座のないトイレでは、イタリア人を見習って、中腰で使うことになります。
どうやって流すかわからない
いざ水を流そうと思っても、どうやって流すかわからない、ということがよくあります。
ボタン、レバー、チェーン、ペダルなど、いろいろなタイプがあります。
タンクのまわり、壁、上部、床を見渡せば、どこかになにかが付いています。それらしいものが見つかっても流し方がわからないときは、押したり、引いたり、いろいろと試しましょう。いつかは流れます。
鍵が壊れている
鍵が壊れていることがよくあります。複数個室がある場合は、鍵が壊れていないところに入ればよいのですが、鍵が壊れているところに入らざるをえないこともあります。同伴者がいれば見張りをお願いすることができます。次の人がいる場合も自分が入ることをアピールすればよいのですが、だれもいない場合はやっかいです。だれも来ないうちに急いですませるか、扉をおさえることができればおさえながら用を足すか、開けられてもいい覚悟で入るか、です。
有料トイレの使い方
駅や町なかなどの公共トイレのほとんどは有料です。
小銭(1ユーロくらい)を入れてターンスタイルゲートや扉が開くシステムになっているところが一般的です。
自動のシステムがないところは、入口にいる人に小銭を払う場合もあります。
無料のトイレもたまにありますが、入るのをためらうくらい汚れている場合が多いため、有料トイレが無難です。
トイレが見つからない場合
観光途中にトイレが見つからない場合は、バールに行きます。
コーヒーを注文したり、レジ付近のガムやキャンディを買ったりしてトイレを使用させてもらいます。
小さなバールでは、レジでトイレの鍵を受け取ってから(外から鍵がかかっていることがあります)トイレを利用できる場合があります。
たまにトイレがない、壊れているなど、利用できない場合がありますので、トイレがあるか、トイレが利用できるかを確認してからのほうが安全です。
便器がふたつ?
ホテルでは、便器のとなりに、蛇口がついている便器のようなものがついています。ビデです。
イタリアではウォシュレットではなく、便器とは別にビデがあります。ビデ専用のソープを使ってお湯で洗い、ビデ専用のタオルで拭きます。ホテルの一番小さなタオルはビデ用です。
イタリアの家庭では必ずビデがあります。ホテルや家庭では、ゆっくりと便座に座り、トイレのあとはしっかり洗うことができるのです。
3. 日本の常識は世界の非常識?当たり前と思ってはいけない3つのこと
便利な日本。日本の生活で普段あまり意識しない当たり前のことが、イタリアではできなかったりします。日本では当たり前なのに、イタリアでは当たり前ではないことをご紹介します。
コンビニがない
24時間営業で便利なコンビニ。イタリアではコンビニはありません。夜になって何か買いたくても、買うことができません。最近では、スーパーが21時くらいまで営業していますので、そんなに不便はありませんが、スーパーはコンビニのように数が多くありません。
水程度でしたら、ミネラルウォーターはバールでも売られています。バールはいたるところにあるので見つけやすいですが、バールも夜は閉まってしまいます。
缶コーヒー、アイスコーヒー、コーヒーサーバーがない
コーヒーの国イタリアですが、缶コーヒーとアイスコーヒーとドリップ式で淹れられてコーヒーサーバーに入ったアメリカンコーヒーは基本的にはありません。「コーヒーは淹れたてを飲むもの」と考えられているためです。
(スターバックスにはアイスコーヒーがあります)
暑い夏、バールでアイスコーヒーが飲みたい場合は、「カフェ・シェケラート」をたのむことができます。カフェ・シェケラートは、エスプレッソコーヒーと氷をシェーカーに入れ、シャカシャカと振ってエスプレッソコーヒーを冷やしたものです。アイスコーヒーほどの量はありません。量を飲みたい場合は、ほかの冷たいドリンクにする、エスプレッソコーヒーとお水をたのむなど、ほかの選択肢にするしかありません。
イタリアではエスプレッソマシーンでエスプレッソを淹れるのが基本的なコーヒーのため、ドリップ式でコーヒーを淹れることはまずありません。したがってコーヒーサーバーに入ったアメリカンコーヒーがありません。でも、アメリカンコーヒーを飲むことはできます。「カフェ・アメリカーノ」がアメリカンコーヒー。イタリアのアメリカンコーヒーは、エスプレッソにお湯を追加したものです。
日曜休み、昼休み、夏休みがある
近年では、チェーン店やデパートは日曜日も営業していますが、個人店は日曜休業な場合がまだまだあります。レストランも例外ではありません。おめあてのお店やレストランが日曜日に営業しているかどうかを事前にチェックしましょう。
個人店は、昼休みをとるところもあります。昼休みはたいてい13時から15時。営業時間もしっかりチェックしましょう。
個人店やレストランは、8月15日付近に週単位で夏休みをとることがありますので、8月の旅行ではお店の夏休みも確認しましょう。
個人店は、夏は土曜日の午後、冬は月曜の午前中が休みの場合が多く、これまた注意が必要です。
4. ストライキ対処法
イタリアでは、バスや鉄道、タクシー、飛行機など、移動手段のストライキがしばしばあります。ストライキを避ける方法、ストライキにあってしまったときの対策方法をご紹介します。
ストライキを調べる
ストライキは、突然おこなわれるものではなく、予定されておこなわれますので、事前にストライキがあるかどうかを調べることができます。
「Sciopero(ショーペロ=ストライキ) trenitalia(イタリア鉄道)」などと検索サイトに入力して検索します。イタリア語の検索結果でも、Googleの翻訳機能を使って日本語で閲覧できますので、活用しない手はありません。
ストライキにあってしまったら
移動日がストライキにあたってしまったら、「いつからいつまでか」「どの範囲か」を調べます。ストライキは24時間ずっとおこなわれているわけではなく、ストライキをおこなわない時間帯や便があります。
ひたすら待っているだけではなく、周りの人たちの行動をよく見る、周りの人たちに聞く、駅などインフォメーションで聞くといった情報収集と、移動先の施設があれば連絡して状況を伝えるなど、行動を起こすことが大切です。
イタリア旅行を計画しているかたへ
イタリアのなかでも、フィレンツェは魅力の多い街です。ルネッサンス芸術があふれる街もすばらしいですが、フィレンツェの魅力は街だけではありません。車で30分ほど走ると丘陵地帯にブドウ畑が続く風光明媚な景色が広がります。
フィレンツェを州都とするトスカーナ州は、ワインの産地です。世界に名を馳せるワインと、その土地ならではの郷土料理、職人気質のワイン生産者の話。ワイナリー体験をしたいかたはフィレンツェ・イン・タスカのワイナリーツアーをぜひチェックしてみてください。
いつまでも心に残る旅になることをお約束します。