ダン・ブラウン「インフェルノ」@フィレンツェ

ダン・ブラウン作の『インフェルノ』。フィレンツェが舞台になっていることでも知られています。

インフェルノ

今回は『インフェルノ』の本に出てくる場所を紹介します。(ネタバレありなのでご注意)

物語は、主人公のハーヴァード大学教授ロバート・ラングドンが目を覚ましたとき、アメリカにいるはずが何とフィレンツェの旧市街とおぼしき場所にいたという形で始まります。彼は記憶喪失状態になっていて、なぜここにいるのかまったく理解できません。おまけに、命を狙われていると気づき、殺害の危機から逃れようと、女医のシエナ・ブルックスの運転するバイクで逃亡。

まずはボーボリ庭園へ。

ボーボリ庭園

観光者がここに入場する場合は、ピッティ宮殿の入り口から通るルートになりますが、ラングドンとシエナは身の危険を感じているから、他人の目につかないところを探し、通常の入り口ではないところ、ピッティ宮殿とは庭園をへだててほぼ反対側に当たるポルタ・ロマーナ美術学校の構内から、境界を越えて入り込みます。

上空を無人偵察機が飛ぶなか、ふたりは偵察機に察知されないよう進みますが、間もなく現れた追っ手の追跡をかいくぐり、ピッティ宮殿内に入るふりをしながら園内にある岩屋サチュロス像や水浴びするヴィナス彫像付近を通過します。

そこから、アルノ川に架かるヴェッキオ橋を渡りますが、観光客で賑わう橋の上とは別のルート、つまり、ヴァザーリ回廊を通ります。この回廊は、ルネサンス時代のフィレンツェに大きな力を持っていたメディチ家の住まいであったピッティ宮殿からヴェッキオ橋の上を通り、ウフィツィ美術館のなかを通って、ヴェッキオ宮殿に至るもので、メディチ家関係者などの特定の人びとしか利用できなかったところです。回廊といっても、その壁には、おびただしい数の絵画が飾られています。

ヴェッキオ橋

ラングドンとシエナは、ウフィツィ美術館からヴェッキオ宮殿に入りますが、その付近の建物などのことが所々に出てきます。
ヴェッキオ宮殿の前のシニョーリア広場、広場に接続するランツィの柱廊、ネプチューンの彫像など。

ランツィの柱廊

その近くのバルジェッロ国立博物館。

バルジェロ博物館

ここは、バディア・フィオレンティーナ教会もこの近くにあり、『インフェルノ』の「謎」を作り出した生化学者であるベルトラン・ゾブリストはこの教会の尖塔から落下して死んだという設定になっています。

そして、ドゥオモとジョットの鐘楼。

ドゥオモ

彼らが入ったのは、ヴェッキオ宮殿。

ヴェッキオ宮殿

市庁舎として現在も使われいるヴェッキオ宮殿のなかで、この作品にとって重要な場所は「五百人広間」。ここの壁には、レオナルド・ダ・ヴィンチが「アンギアーリの戦い」を描き、ミケランジェロが「カスチーナの戦い」を描こうとしていたところ。実際には、両者は完成せず、代わりにヴァザーリの「マルチャーノの戦い」の絵が飾られています。この絵が、『インフェルノ』では重要な意味をもつことになります。

フィレンツェを愛してやまなかったダンテ。『神曲』で知られるそのダンテの家は、ヴェッキオ宮殿の前、シニョーリア広場から歩いてすぐのところにあって、ここは今、博物館になっています。

ダンテの家

ラングドンとシエナが、追っ手を避け、かつ「謎」の真相に迫るべく向かったのが、サンジョバンニ洗礼堂。

洗礼堂

ここの洗礼盤をみながら、「謎」に近づいていきます。

そして、その謎を追いかけ、ふたりはフィレンツェから空路でジュネーブに向かったという細工をして追っ手をかわしつつ、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅から列車でヴェネツィアに向かいます。

みなさんも『インフェルノ』に登場する場所をめぐりながら、フィレンツェを歩いてみるのはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

yuka
yuka
フィレンツェに2004年より在住。 フィレンツェ・イン・タスカ代表。 イタリア国家公認ソムリエ。趣味は料理、映画鑑賞、ワークアウト。

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