ボッティチェッリの《受胎告知》
前回述べたフィリッポ・リッピは、サンドロ・ボッティチェッリ(1445-1510)の師でもありました。ボッティチェッリはもちろん、ウフィツィ美術館の名品《春(プリマヴェーラ)》と《ヴィーナスの誕生》で知られています。
ボッティチェッリ《プリマヴェーラ》
ウフィツィ美術館 1482年 板絵 テンペラ 203cm×314cm
ボッティチェッリ《ヴィーナスの誕生》
ウフィツィ美術館 1485年頃 カンヴァス テンペラ 172.5cm×278.5cm
ボッティチェッリは、《受胎告知》も描いていますが、そのうちの2作品がウフィツィ美術館蔵となっています。
ボッティチェッリ《受胎告知》
ウフィツィ美術館 1489-90年 テンペラ 150cm×156cm
ウフィツィ美術館 1481年 フレスコ 243cm×550cm
この連載(その1)でのマリアの対応区分に即していえば、1489-90年作品のマリアは「戸惑い」の姿勢を、1481年作品では「受け入れ」の姿勢を示しているといえるでしょう。また、どちらの絵でも、ガブリエルはユリを手にしています。
ボッティチェッリには、これらの他にも《受胎告知》作品があります。
グラスゴー(スコットランド)ケルビングローブ美術館・博物館 1495-1500年 テンペラ 49.5cm×61.9cm
メトロポリタン美術館(NY) 1485年頃 テンペラと金 19.1cm×31.4cm
前回(その2)で、サヴォナローラの神権政治にふれましたが、この神権政治がはじまると、ボッティチェッリはサヴォナローラの教えに共鳴し、絵の傾向を大きく変化させていきます。
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藤尾 遼

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